日本での新型コロナウィルスのPCR検査実施数は7月14日時点で1万1154人。検査能力自体は3万件を超えているけど、能力をフルには使っていない。フルに検査したとしても、世界の各国と比べると桁違いに少ない。

 

東京を中心に陽性者が増加している。菅長官は、直ちに再び緊急事態宣言を出す状況ではない、という。拡大を止めるために取る対策は、緊急事態宣言を出すか出さないか、ということらしい。

 

東大の先端研の児玉先生のインタビューをユーチューブで見た。どんな対策をとるにせよ、各地で感染者の広がりにばらつきがある以上、全国一律の対策というのは問題外、みたいだ。

 

感染の集積地とそれ以外を見極め、集積地には医療資源を集中投入し徹底検査と隔離・治療で感染の制圧を目指し、それ以外の地域は集積地のヘルプとクラスター対策など個別の対応、というのが感染症対策の基本らしい。

 

先生曰く、この問題の発端となった「武漢の封鎖」は、武漢という一大都市のロックダウンに焦点が当てられた感があるけど、見るべきはそこではなく、5万人の医療従事者を各地から集め、1千床の治療施設を突貫工事で建設するなど、医療資源を集中的に投入し制圧を目指したという点にあるみたいだ。

 

先生は全国一斉のステイホームは日本を滅ぼすという。緊急事態宣言で、大学も閉鎖されたけど、毎年多額の研究費を注がれ感染症についても最先端の研究を行っている大学が、一番役に立たなければならない時に閉鎖されてどうする?ってことらしい。

 

先生は先日の参院閉会中審査にも参考人として招かれた。

その場で、エピセンターと化しつつある新宿に医療資源を集中投入し、徹底したPCR検査と隔離・治療を早急に実施してコロナを制圧しなければ、ニューヨークやミラノのようになってしまうと危機感をあらわにして国会議員に発破をかけていた。

 

児玉先生は新宿区で働く人と住民合わせて50万人の全員検査、隔離、追跡を提案。新宿に集まる大学や大学病院などの能力も合わせれば、1日5万件の検査も決して不可能ではないという。新宿のエピセンター化を阻止し、新宿モデルとする。そのためにネックとなっている、検査は医療行為であり特定の医療機関や検査機関でしかできないという現在の法律を変えること、コンタクトトレーシングと個人情報の取り扱い、自治体権限の明確化と予算など、法改正や時限立法などすべきことは山ほどあり、早急に国会を開いて国の総力を挙げて取り組むべきだと、先生は熱弁した。

 

集積地での戦い方と、その他感染が広がっていない地域の戦い方は自ずと異なるのだという先生の説明はとてもわかりやすい。

検査能力がなかったスペイン風邪当時の、国民全員自粛という戦い方では、コロナを制圧する前に人々が経済的に倒れてしまう。当時とは比較にならないほど医療も科学も進歩したのだから、現状の科学の最先端の知を新型コロナ制圧のために注ぎ込むべきだというのももっともだと思う。

緊急事態宣言を出すのか出さないのかなんて議論はもう聞くだけで気分が落ち込むけど、感染拡大しつつある新宿のコロナを制圧して新宿モデルを打ち立てよう、ってのは前向きになれる。

そのためには、感染の集積地での徹底したPCR検査と隔離・治療。

 

でも、現実はそういう方向にはいかないみたいだ。

7月16日、新型コロナウィルス感染症専門家分科会の尾身会長が会見で、無症状かつ事前確立が低い人に対するPCR検査を行政検査としては行わない方針がコンセンサスを得たと明らかにした。

検査は100%ではないので、どうしても一定割合で擬陰性、擬陽性が出る。擬陽性の人は感染していないのに隔離という不利益を被るし、擬陰性の人は安心しちゃってウィルスを逆に広げまわるかもしれない、という問題をクリアできないらしい。これはもうずっと聞かされてきたような気がする。

検査後に感染することもあるし、検査の結果擬陰性もありうると事前に十分一人一人が理解していれば、いきなりマスクなしでしゃべくり回るなんてこともほとんどの人はやらないだろうと思うんだけど、それは甘い考えなのかなあ。100%の安心を求めるわけではないんだけど、無症状者が感染を広めるっていうなら、やっぱり検査・隔離・追跡しかないと思うんだけど。

 

検査・検査・検査の各国ではどうしてるんだろう。