報道によると、13日、ドイツがん支援協会が、3月中旬から6月末までにドイツ国内で予定された約5万件のがん手術が延期になったとの推計を明らかにしたという。

理由は、新型コロナウィルス感染患者への対応が優先されたため。

がんの診療や検診が先送りされた例も相次いだという。

協会の広報担当者は「がんの早期発見のための診察や検診が先送りされた。その影響を特に懸念している」と述べたという。

 

 

6月に、新型コロナのパンデミックが待機手術に与えた影響を検証する大規模調査(世界71カ国、359病院対象)についての記事を読んだ。

その調査によると、【日本全国では本年3月下旬時点で向こう12週間に本来行われる予定だった大腸・上部消化管/肝胆膵・泌尿器・頭頸部・婦人科・形成外科・整形外科・産科領域の手術のうち約140万件(全体の73%に相当)が中止・延期されたと推定される(このうちガンは約9万8000件でキャンセル率30%)】(日本外科学会の5月22日付提言)という。

それらの手術を今後全て実施するには、その大規模調査の論文(バーミンガム大学の研究らしい)によれば、これまでの手術実施体制を20%強化しても、45週かかると試算されているという。

 

 

この数字は統計モデルによる推計値で、実際に日本でいったいどれくらいの手術が延期・中止になったのかわからない。

4月初めに、日本外科学会などが、致命的な病気でなければ、感染した人や感染を疑われる人への手術を延期するよう提言をまとめ、厚労省4月8日付で都道府県に、医師が不急と判断した一般患者の手術や入院は延期するよう通知したという報道があったから、延期・中止が実際にあったことは確かなんだろうけど。

 

4月初めに手術延期の提言をした日本外科学会では、5月22日には、待機手術の本格的な再開に向けて、注意すべき事項をまとめた提言をしている。その中で、予定手術再開のタイミングの目安のひとつに、各地域での新規感染者数の発生が最低2週間にわたり減少傾向を維持という項目があった。

4月初めのピークから1日あたりの感染者数は減少に転じ、5月中旬頃から6月中旬過ぎまで感染者数は落ち着いていた。

この間に待機手術はどれくらい再開されたんだろう。

 

ここのところ新規感染者は増えているけど、4月の頃とは状況が違う、と政府はいう。その根拠の一つが、重症者数の少なさ、死者の少なさ、病床数の余裕で、医療が逼迫していない、という。

本当にそうなんだろうか。

 

欧米に比べて日本は新型コロナの感染者も死者も桁違いに少ないから一概に比べられないのはわかるし、統計モデルの推計値が実際の数字とどれほど違うのかもわからない。

ただ、PCR検査の能力が増えたと言っても諸外国と比べて段違いに少なく、医療関係者は第1波の疲労からまだまだ回復しきっていないという状況で、それらに対する手当をどうするのかが不明なままに、「日本モデル」を誇り「経済を回す」方向へ旋回という状況には、もう毎回同じことを書くけど、不安しか感じない。感染者の増加を、新しい生活様式の徹底だけで乗り切っていこうとしているかのようにさえ思える。恐る恐るの旅行は楽しいんだろうか。

 

新型コロナ自体も怖いけど、それ以上に、「がんの早期発見のための診察や検診が先送りされた。その影響を特に懸念している」とドイツのがん支援協会が懸念するような状況が、日本でもありうるのではないかというのがすごく怖い。