カオスはダイヤモンド・プリンセスだけでおさまるんだろうか

感染症研究の専門家、神戸大学の岩田教授による「ダイヤモンド・プリンセス号」の実態の告発は衝撃的だった。

 

エボラ出血熱SARSの現場を知る専門家が、心の底から怖いという現場。感染症対策の専門家が、自分が感染しても仕方がないと思うような現場。それがダイヤモンド・プリンセス号らしい。

 

ダイヤモンド・プリンセスには、感染の危険があるレッドゾーンと安全なグリーンゾーンの区別がないから、専門家をもってしても、どう身を守ればいいのかわからないのだという。

医療従事者が自分の身を守るというのは何よりも大事なのに、それができない。

船内は悲惨な状態で、熱のある人が部屋から歩いて医務室へ行くという話も聞いたという。(医務室は何十分待ちだというのはテレビでも以前に見たことがある。)

感染を防ぐルール守られておらず、感染症の専門家ではなく素人であるDMATや職員が感染しても仕方がないような状況らしい。

 

また、この現場には、常駐の感染症の専門家もおらず「怖い」という。

現場を仕切ってるのは感染症の専門家ではなく厚労省の役人で、常駐ではないにしてもやってくる専門家がたとえ進言しても聞いてもらえないという。

教授は、専門家が入ってリーダーシップをとってルールを決めてやってるんだろうと思っていたけど、全くそうでなかったらしい。感染症の専門家からすればとんでもなく非常識なことが普通のことになってる、カオスな現場みたいだ。

 

常駐の専門家がいないカオスな現場という告発は、衝撃だ。

けど、政府が感染症対策の専門家会議を開くと発表したのが2月の14日。つい先日のことで、初会合が16日だと思えば、カオスな現場だという告発は衝撃だけど、まさかありえないという驚きはない。驚きがないのがまた怖くもある。

 

 

岩田教授の告発に対して、厚労省は、岩田教授が本来の手順を取らず船内に入られたことは不適切、また専門家がいないはずがないし、エリアの区分けもされてると反論。はずがないって何?

 

岩手医科大学の櫻井教授も、ゾーンは分けられていたけれど、その間を横断的に動かざるをえない医療チームやスタッフがいたと、ゾーンについては岩田教授の誤認だと反論していた。

ただ、専門家の不在は櫻井教授も同感らしい。

他にも、ダイヤモンド・プリンセスは民間の船だから病院のような厳密な対策は難しいという意見もあるみたいだ。

 

 

厚労省がどう反論しても、日々数十人単位で感染が確認されてきた事実を見れば、感染症研究の専門家の「まさかここまでひどいとは」という言葉の方に断然真実味を感じる。

SARSの時に北京で、中国が情報公開をしてくれなくて何が起きてるのかわからなかったのが怖かったけど、今回はそれよりひどいと教授はビデオで語っていた。

 

 

ダイヤモンド・プリンセスでは、陰性の乗客の下船が始まった。

チャーター機で帰国したアメリカ人は、帰国後14日間は軍の基地で隔離されるという。他にオーストラリア、カナダ、イギリス政府は、ダイヤモンド・プリンセスから下船しチャーター機などで帰国した人たちに対して、同様に14日間の隔離措置をとるという。

5日の船内隔離開始以降に感染が広がったと見るのなら、下船からさらに14日間の隔離は理にかなってると思う。

一方、下船した日本人は、数日健康状態を電話で確認するというものの、自宅に帰って通常の生活に戻る。

 

厚労省は、検査が陰性で下船する乗客について「感染しているおそれはない」と説明しているという。

5日を起点にして14日経過したから、陰性だから、「感染の恐れなし」だとするということは、厚労省は、5日の船内隔離以降に感染が拡大したとは見ていないということなんだろうか。

それとも、専門家が言うように、他国とは違い日本の場合、人数が多から、さらなる隔離措置は現実的に難しいという判断なんだろうか。

 

感染は5日以前だと、今いったい誰が信じるんだろう。リーダーシップを取る専門家が不在で感染が広がったらしいダイヤモンド・プリンセス。日本全体がダイヤモンド・プリンセスのようになってしまわないだろうかと、本気で怖くなる。