ハイキュー!! 第353話 静かな覚醒 感想

ちょっと折れかけたかなあと思ったけど、大地さんと菅原さんの言葉でなんとか踏みとどまった旭さん。でも、十分ではないトスからのボールを3枚ブロックに叩きつけることしかできなかった。
そんな旭さんが、一転、あって当然の罪悪感と恐怖を全部背負って「俺は今日俺を味方にする」と、まるで夢から覚めたような表情になったのは、西谷さんのブロックフォローのおかげだ。


今回は旭さんの覚醒がテーマ。
日向たちの入学前の伊達工戦で心が折れた旭さんが復活したきっかけも、そういえば西谷さんのブロックフォローだった。
あれは町内会チームとの練習試合。久々読み返してみた。

 

町内会チームとの試合に成り行きで半ば強引に参加せられた旭さん。カバーボールのトスをスパイクしたものの、影山・月島・田中の3枚ブロックに止められた。それをフォローしたのが西谷さん。
そこで旭さんが思い出しのは、スパイカーがスパイクを打てるのは、繋いでくれる仲間があってこそという単純で当たり前のこと。
ブロックフォローされたボールを誰にあげるか迷う菅原さんに、「もう一回!!!決まるまで!!!」と声をかけたのは影山で、トラウマを吹っ切った旭さんがトスを呼び、菅原さんが旭さんにトスを上げた。
それを3枚ブロックを物ともせず旭さんは強打して決めた。その時の旭さんは「打ち切ってこそエース!!!」だった。


今回は、あの時の旭さんとの対比、というより、あの時からのさらなる成長を描いているみたいだ。


352話で、旭さんが田中さんからの不十分なトスを3枚ブロックに叩きつけ、当然ブロックされ、それを西谷さんがブロックフォローするところまでは、町内会の試合のシーンと全く同じ流れだ。違うのは、その次。ブロックフォローされたボールを影山は旭さんではなく、月島にあげた。

影山が月島を使ったことについて、菅原さんは内心「あえて連続でエース勝負させるべき時もある。でも俺だったら旭が不十分な体制であっても旭にハイセットを上げることしかできなかった」と思ってる。

 

町内会戦で「決まるまでもう一回」と影山が叫んだときは、まさに「あえて連続でエース勝負させるべき時」だった。今回はどうだったんだろう。あえてエース勝負させるべき時だったのかどうか。(何れにしても菅原さんだったら、技術的にそうせざるをえなかったと本人も自覚してるみたいだけど)
影山の答えは、速攻を選択したのは、6番(昼神)がしつこくて腹立つから速攻で抜いてやろうと思ったから。町内会戦の時のように、あえての連続エース勝負なんて、頭の片隅にもない。
つまりここで影山は、旭さんのことを全く心配していない。


町内会戦でトラウマから抜け出した時の旭さんは「独りで戦っているのではない  託されたラストボール  何度壁にブチ当たろうとも  打ち切る」だった。
今回旭さんに託されたラストボールは、治が「トリハダハイセット」というほどの完璧なトス。誰もが強打を予測した中、旭さんが選択したのはフェイント。

託されたラストボールの重みを感じて打ち切る、という段階を経て、「仲間が重荷であった事があるか」と力の抜けた旭さんには、目の前の壁だけでなくその後ろまで、一気に視界が広がったみたいだ。行き詰った挙句に逃げたのではなく、開けた視界の先に見えた、ただ単に点を獲るための当然の選択。
ここまで旭を追い込んできた昼神には、そに違いが感じ取れたみたいだ。

 

1点を獲ること。その積み重ねが勝利。
罪悪感と恐怖を全部背負ってという心持ちのはずだけど、余計な力を抜いて、自分にできることだけに集中した旭さんは、なんだかとても軽やかに見える。


覚醒した旭さんは、ここからどういうプレイを見せてくれるんだろう。
第2セットはこのままパンパンと一気にいけばいいんだけど。