貿易交渉の記事を読んで

18日(木)、報道によると、NAFTA北米自由貿易協定)を見直した新協定が発効した場合の経済効果の試算が、アメリカで2つ公表されたという。

1つは米国際貿易委員会(ITC)による試算。この報告書は、米国議会に提出することが法に定められているらしい。
自動車に関して、無関税になるためには北米産の部材をより多く使わなければならないため、費用が増加し価格が上がり、米国販売が14万台減。完成車メーカーでは雇用が減るけど、米国内の部品生産は増えるため、それ以上に全体で自動車関連の雇用は2万8千人増。
6年後にはGDPが0.35%拡大し、17万6千人の雇用増、という試算だという。

2つ目は米通商代表部によるもの。ITCの試算に対し、今後5年間で日本メーカーを含む自動車各社が、3兆8000億円を米国に投資、自動車業界の雇用が5年で7万6千人増となるという。


新協定が発効するためには、議会の承認が必要で、ITCの報告書が出されたことで、これから審議が本格化するという。


米国内では、2020年の大統領選に向けて、新協定を公約達成リストに加えたいトランプ大統領と、それを阻止したい下院を握る民主党の戦いが多分激しくなるらしい。
民主党は、早々に批准してトランプ大統領に手柄を与えるのは絶対避けたいけど、これがポシャって経済が悪化した場合批判を浴びるのも嫌。だから最終的には批准するけど、それまでに政権から取れるものを取れるだけ分捕りたいのだという。
民主党は、この新協定の中の、メキシコの労働者の権利の改善に関する項目を盾に取る構えらしい。

カナダも10月に総選挙が予定され、アメリカは2020年に大統領選。
報道によれば、総選挙前にカナダで新協定が批准されるには審議時間が短すぎ、総選挙後の議会が2020年までに批准を完了する可能性は低いという。

トランプ大統領は、民主党に対しては、議会が承認を急がないなら、新協定の成立がないまま北米自由貿易協定NAFTA)を破棄すると脅し、メキシコに対しては、違法薬物や不法移民の問題に対処しなければ、メキシコからの輸入自動車に関税をかけると脅してるみたいだ。


この新協定(略称USMCA)は、日米貿易交渉にどう影響するんだろう。


先日の報道によれば、16日に終えた初協議では、議論の対象範囲を絞りきれなかったという。絞りきれないままに、アメリカは日米間に意見の相違がないデジタル貿易の協議入りを提案、日本側も「何の争いもない分野だ」として応じたという。
農水相OBの明大教授によれば、【「交渉範囲を確定しないうちに、関税協議に入ったことで、米国のペースに乗ってしまった。相手の好きなタイミングでサービス分野を追加され、交渉に揺さぶりをかけられる恐れがある。」】(東京新聞)という。交渉担当の茂木経済再生担当相は、他のサービス分野の追加協議については【「可能性は極めて低い」と否定し、米国の交渉責任者のライトハイザー通商代表との信頼関係を強調した。】という。大統領選を前にしたトランプ大統領相手に、信頼関係ってどれほどの重みがあるんだろう。
自動車の追加関税で脅しをかけられることはないんだろうか。茂木大臣の説明によれば、「交渉中は発動しないと再確認した」というけど。