ハイキュー!! 第322話 勝ち 感想(2)

ピンチサーバーで投入された音駒の控えセッターによると、いつもなら研磨はもうバテてる頃らしい。
チームの脳である研磨が3セット目半ばでバテるセッターということは、音駒にとっての春高の最終目標は、準々決勝ってことになるのかな。準決勝・決勝は5セットマッチだから、3セット半ばでバテてしまう研磨では戦いきれない。脳で心臓のセッターなしじゃ音駒そのものも戦いきれないだろうし。

 

研磨の「たーのしー」。

音駒のチームメイトはみんな目を丸くして驚いてる。
初登場時の研磨は、バレーは嫌いじゃないけど好きでもなく、友達がやってるし自分がいないと困るだろうからなんとなくやってると、日向に答えてる。体育会系の上下関係は嫌いだし、疲れるのは好きじゃないとも言ってる。
その姿勢はその後もずっと変わってないみたいだし、そもそも入部以来のものみたいだし、バレーボールに対して熱量が全く感じられない研磨が「たーのしー」なんて言うこと自体たぶん初めてで、だとしたらチームメイトがびっくりするのは当然なのかもしれない。

日向にとって研磨に勝つということは、音駒との勝負に勝つことは無論、それに加えて研磨に「別に」以外の言葉を言わせることだったはずだから、研磨の「たーのしー」は、5月の練習試合以来持ち越しになっていた目標の一つを達成した瞬間だ。スパイクが決まってから間を空けての、まるで試合に勝ったかのような喜びは実況や観客席を驚かせてるけど、日向にとっては単に1点取ったというだけではない、渾身のガッツポーズ(ってちょっと表現がおかしい気もするけど)は自然なんだろう。

じゃあ当の研磨にとっての「たーのしー」は?
猫又監督は、最初の練習試合で研磨のことを、【 孤爪は”予測”がうまいんだ。「コイツはこういうタイプできっとこう動く」っていう予測が】と評した。
強い選手、うまい選手は世の中たくさんいるけれど(東京は激戦区らしいし、研磨もそういう選手たちとの対戦は結構経験してるんだろう)、研磨にとって日向ほど予測が難しい選手はたぶん初めてなんだろう。
これまでの練習試合での対戦で、日向の予測困難さは十分わかっているけれど、負けたら次がない公式戦の緊張感と、体力が限界を超えてる状態でのラリーで頭脳を目一杯回転させ、勝ったと思った次の瞬間に予測を超えられ、緊張がどっと解けた瞬間に口をついた「たーのしー」。
見てるだけの状態での予測不能ではなく、身体と頭を目一杯使う中での予測不能な勝負。勝ち負けに興味がない研磨にとって、結果はどうでもいい。その過程が「たーのしー」んだろう。


「たーのしー」の謎は、「前に落とすと見せかけてのロングプッシュ」が、床に倒れて「たーのしー」とつぶやくほどのプレイなのか?ってことだ。
音駒のフロアディフェンスにとってありえない、ぽっかり空いた前方の穴が、研磨の仕掛けた罠だったなら、かかったと思った瞬間に裏をかかれたことになるかもしれないけど、罠というよりただの穴みたいだったし。罠だったとしても、日向はそんな読み合いで裏をかいたというよりは、単に前に出た研磨に反応して、後ろにプッシュしただけという感じだったし。
それとも5月の練習試合からの日向の成長速度の意外性も込みの「たーのしー」なのかな。
同じプレイを椿原のスパイカーもやったから、余計に研磨の「たーのしー」の基準が低く思えてしまった。

とりあえず日向のスパイクが決まって19・17。あと6点。