ハイキュー!! スピードの呪縛(2)

稲荷崎から思いがけないチャンスボールが返ってきた烏野サイドのコマで描かれていたのは月島プラスウィングスパイカー3人。ここから烏野の畳み掛けるような攻撃が始まる。でもこの速さは、前のめりすぎる速さのようだ。烏養さんが、コートの外から「ゆっくり!!」と必死で声をかけているけれど、後衛のスパイカーたちにも声が届かない。

この速さがスタートしたのは、月島のファーストタッチからだ。稲荷崎から戻ってきたチャンスボールを月島がセッターに返したボールは、西谷さんが懸念の顔をするくらい低く多分速いボールだった。

ここで影山が上げたトスには「ピッ」という効果音がつけられてるから、多分速さのあるトスだったんだろうとは思うけど、飛んでるのは日向だし、このコマにかぶされてるのが「追いつかれる前に」という言葉だとしても、ここで影山が速さに取り憑かれているのかはよくわからない。

ここまで高い集中を保ち、宮侑の挑発的な攻撃にも反応することもなく冷静に試合を進めてきた(ように見えたんだけど)影山が、ここにきていきなり速さに取り憑かれたと見るのは、なんだか不自然な気もするし、出ずっぱりで相当疲労もたまってきてる高校一年生だと思えば、チームの速さに取り込まれてしまうのもありかもとも思う。

この後大地さんの乱れたレシーブのカバーに走った影山は、「フワ」としたトスを上げてる。ここでは速さにとらわれてる感じはしない。けど、田中さんの助走は短くリバウンドを取るのがやっと。

この後烏養さんの「”ここで決める”という意志の強さがリズムを速めていく」という言葉が続く。この言葉が、月島のサーブに続く「チャンスボール!!!」のコマに描かれた4人のスパイカーの意志を説明してるように思う。月島の滅多にない(今まで描かれたことはない)攻撃的サーブか生み出した思いがけないチャンスボールだからこそ、疲労の極にあるスパイカーたちは”ここで決める”と意志が一致したような気がする。
影山がその中に入ってるかどうかはちょっとよくわからないけど。とりあえずわかるのは、インハイ予選の青城戦とは違って、ここで速いリズムを作っているのは、影山1人じゃないということだ。

このあと日向が「楽していこうぜ」って顔で「高く優しいファーストタッチ 味方に 呼吸をさせるファーストタッチ」をあげて、大地さんを驚かし、菅原さんを感動させたから、日向だけは速さの魔性に取り憑かれてはいなかった、ということはわかった。

青城戦の”スピードの呪縛”では、それに取り憑かれた影山がチームの悪いリズムを作り、スパイカーたちの力を引き出すどころか殺してしまった。
稲荷崎戦では、チームが作り出したリズムの速さに、青城戦とは逆に影山自身の首がしめられていくような描かれ方をしてる。

この回のタイトルは「”楽”・2」。宮城一年選抜合宿で、百沢を救った日向のアドバイスからきてる。菅原さんが感動してるように、日向の成長がメインなんだろうと思う。けど、「はやさは魔性」の一言で、スピードの呪縛を思い出してしまったから、日向の成長よりも、味方に首を絞められる影山くんに成長を感じてしまった。

バレーボール素人だから本当は、相手の体勢が整わないうちに畳み掛けるようなスピードで攻撃を仕掛けることのどこが悪いんだろう。と、割と単純に思ったりもしたんだけど、首を絞められる影山くんの表情を見れば、悪いに決まってる。もしかしたら良い使い方と悪い使い方があるのかなあ、とも思うけど。