「ナルト」のサスケと「訪問者」のオスカー(2)

うちは一族皆殺し事件は、里に対してクーデターを起こすことを計画していたうちは一族を、ことを起こす前につぶしてしまおうという里の最上層部の決定で行われた政治的な出来事だけど、それを知っているのは里の最上層部数人と実際に手を下したうちはイタチ、その共犯者オビトだけだった。
表面上は、うちはイタチによる個人の犯罪だから、当然犯人であるイタチは里の法による裁きを受けなければならないはず(忍びの世界の裁きだから”法”の裁きとは異なるのかもしれない。そこのところは、本編を読んだ限りではうまく読み取れなかった)。
里の創設に重要な役割を果たしたうちは一族を全滅させた犯人は、本来なら特別隊でも編成して里の総力を挙げて追うべきなんだと思うけど、そこまでやってる様子はない。ビンゴブックに特Sとしては載ってるみたいだけど。
もともと里の命による任務だから、里としてもそこまでのことはさすがに出来なかったのかもしれない。(と書いたけど、そこまでのことをやってないという描写はなかったから、出来ないと断言はできないんだけど)

「ナルト」には、主人公のナルトをはじめ、親や仲間を殺されたという登場人物が結構たくさん出てくる。親に殺されかける子供も出てくるし、登場人物自体数が多いんだけど、結構それぞれ辛く重い過去を背負ってる人が多い。
同胞殺しを任務にしていたのも、イタチだけじゃない。

それでも里抜け後のイタチの人生がとりわけ過酷に感じられるのは、イタチが決して裁かれることがないままにおかれたからだと思う。イタチが、うちは一族ではなければ、一族とはなんの関係もない人間だったら、任務としての同胞殺しは非情なものだったろうけど、裁かれずにいることを重い荷、痛みとして感じることはなかった思う。

でも、イタチはうちは一族だ。一族の地で、一族の人々の中で育ってきた、一族の一員だ。その彼が一族殺しの任務を負わされた。
穢土転生した3代目が言ったようにイタチは「戦争を一人で食い止め、、、”暁”にスパイとして入り込んでまで里を守った」のだし、穢土転生したイタチ自身も「木ノ葉隠れうちはイタチとして、、もう一度忍里を守ることができる」と言っている。
一族殺しは、弟の命を助けることと引き換えにしたにせよ、絶対服従の命令でも脅しでもなく(とは言い切れない気もするけれど)、里を守るための究極の選択として自ら選んだことだ。
カブトとの戦いで、サスケは「兄さんにあんなことをさせた木ノ葉」と言ったけれど、自らが選択した任務という点から見ると、イタチにとってはうちは殺しは「あんなこと」ではなく「里を守るために遂行すべき任務」だったのだろうと思う。
それでも、うちは一族の中で育ってきた生身のイタチにとっては、「あんなこと」だったかもしれない。
両親を手にかける時に見せた涙と手の震えは、フガクの最後の言葉にあるような「本当に優しい子だ、、、」というイタチ本来の姿だったんだろう。


任務を遂行したうちはイタチではなく、一族を殺した一族の一員としてのイタチとして、親殺しをした子供であるうちはイタチとして、イタチは裁きを受けたかったのではないかと思う。