NARUTOーナルトー 復讐者サスケの理解者はいたのか(2)

サスケにとって、復讐とはなんだったんだろう。一族、両親を奪った兄イタチ。おのれの器を量るため。イタチはこれしか言わなかったけど、サスケはずっとこの理由を信じていたんだろうか。

幼いサスケが、一族、両親を一度に奪われ、たった一人残された時、何かすがるものがなければ、到底生きてはいけないだろうと思ったし、イタチがサスケに復讐心を植え付けたのはそのためだろうと納得してた。
けれど、読み進めていくうちに、ナルト世界での写輪眼の価値を知り、またダンゾウという危険人物の存在を知り、サスケは文字通り強くならなければ生きのびることができない状況にいるんだということ、復讐心はそのためにも必要だったんだと、少しづつ分かってきた。


血だまりの中に倒れている父と母。2人の身体が徐々に冷たくなっていくことすら感じることができたかもしれないほど近くに這いつくばって、泣くだけの自分。それはサスケにとって初めてのひとの死の体験だったかもしれない。

サスケにとって、憎しみと復讐の原点は、あの月夜の体験なんだと思う。それは、抽象的な”復讐”という言葉ではなく、父と母の死体を前に這いつくばった床の冷たい感触(描写を見ると硬くて冷たそうな床だった)と血の匂い。両親の死を受け止める間もなく、死の恐怖に怯えて逃げ出した弱かった自分の姿。
あの夜の出来事は、ナルトの物語の中で繰り返し出てくる。家族を一度に失ったサスケは、一人残された家でそれこそ数え切らないほどあの夜の出来事を思い出したんだろうと思う。


里を抜けようとするサスケに、一族のことは知ってる、復讐も手伝うと言ったサクラ。
サクラがサスケを思う気持ちは真剣で、この時の言葉も本気だということはわかる。死の森で、身を呈してサスケを守ろうとしたサクラだし。2部では、国際的(?)犯罪者となったサスケと相討ちを覚悟して(多分)自分の手で終わらせようとしたサクラだ。
サクラには、サスケの心を占めてるのが、兄への憎しみと復讐の思いだということはわかってるはずだ。けれど、うちは一族皆殺し事件のことを、サクラがどのていどまで知っていたのかは、作中で触れられることがなかったからわからない。
サスケのことを深く知りたいと思う気持ちは誰よりも強かったと思うんだけど、サクラを見て、人を深く理解することと愛することは必ずしも完全には重ならないのかもしれないと思い始めた。理解せずに愛することなどできないと思ってたんだけど、案外そうでもないのかもしれない。

それは置いといて、話を復讐に戻すと、サクラにとって”復讐”とは、復讐という言葉にすぎなかったのだと思う。(ちょっと日本語おかしい気もするけど)。サクラが目の前で自分の両親を殺されたわけではないからそれは当然で、多分どれほど想像しても、あの夜の出来事をサスケが感じたままに追体験することはできない。サスケの混乱、恐怖、絶望、湧き上がる憎しみ。想像はできるけど、そんな言葉では捉えきれない(語彙の問題かもしれないけど)感情のうねりを、同じように自分の感情でたどることなど、とてもできない。
だからこそ、逆に、復讐ではない生き方をサスケの心に届けようとすることができたんだろうし、時間はかかったけど、最後にはサスケもそれを受け入れることができた。

サスケにとっての復讐は、五感に染み付いて消すことができないあの夜の体験からくる、”身体的なもの”なんだろうと思う。
サスケとその感覚を共有できるのは、もしかしたら目の前で親を殺された長門(とりあえず描写されてる人物としては、他に浮かばない)くらいかもしれない。サスケと長門って直接の接点ないけど。

”復讐”は良くない。復讐は連鎖する。それは正論で、賢いサスケは十分わかってる(と思う)。それでもなお復讐に向かわざるをえなかったサスケの情熱は、やっぱ中々捉えるのが難しいなあと思う。