NARUTOーナルトー 復讐者サスケの理解者はいたのか(1)カカシ  

当初の目的がどうだったにせよ、結果的にサスケが五影会談を襲撃してる頃、ナルトとカカシ、ヤマトは暁のトビ(この時点ではマダラと言ってるけど、ややこしいからトビということにする)の口から、イタチの真実とサスケの木ノ葉の里への復讐について聞かされていた。トビが語った話の内容は描かれていないから、サスケに対して話した事と同じ内容だったのかどうかはわからない。けど、その後カカシの「うちは一族殺しがイタチを利用した木ノ葉上層部の仕業だったなど、、」という発言があるから、詳細はともかく大まかには同じ話だったのだと思う。

それを聞いたカカシは、「それがもし事実だとしてそれをサスケが知っているなら」イタチの意志を継いで木ノ葉に帰ってくるはずだと言った。
カカシのこの言葉を読んだ時、最初に感じたのは、木ノ葉の里にはサスケの理解者はいないのかもしれないということだった。

アカデミーの同期からも一定の距離を取っていたように見えるサスケにとって、第7班の隊長で、千鳥を教わった師匠でもあるカカシは、木ノ葉の里で最も近しい存在の一人である、個人的にはサスケの最もよき理解者でもあると思っていた。

サスケは7歳で一族を皆殺しにされた子供だ。その犯人は、それまで慕っていた実の兄。これだけでも幼い子供がひとりきりで背負うには過酷すぎる事実だと思う。
それでも復讐を果たすということだけを支えに10年近く生きてきて、ようやく目的を遂げたと思ったら、実は黒幕は別にいました。そんな真相を聞かされてしまった。

真相を知ってサスケは、兄イタチがどれほどの重荷を背負っていたのか、その苦しみを思えば思うほど、サスケ自身も苦しくなっていっただろうと思う。知りようもなかったこととはいえ、その苦しみを知らずにいたこと、そんな兄を手にかけてしまったこと(イタチ自身が仕向けたことであり、薬で無理に延命していたというのが事実だったとしても、サスケにとってそれが慰めになるとは思えない)への悔恨が湧き上がっていったろうことも容易に想像できる。おまけにそれまでの自分をすべて否定されたも同然の内容だし。

そんな真相を知ったサスケが、自分の感情を抑え、論理的に考え、イタチの意志を継ぎ、里に帰ることができただろうか。イタチの意志についてサスケが何も考えなかったわけじゃない。復讐を思い続けたのと同じくらい長い時間をかければ、いずれは自分の感情と折り合いをつけることができたかもしれない。けれどこの時のサスケは、もう自分でもどうしていいか、どうしたいのかさえわからなくなっていたんじゃないかと思う。そこをトビに上手く利用されてしまったのだとは思うけど、トビがナルトたちに言ったように、この時木ノ葉の里への復讐を選択したのはあくまでサスケ自身だったと思う。「だがオレにとってはそんな生き様よりもイタチを失った哀しみの方が深い、、どうしようもなくな」というサスケの言葉は、木ノ葉への復讐を決意した時のサスケの本音だと思う。あくまでも自分の内側に向かう感情だ。それで一杯一杯だったんだろうけど、この時のサスケにそれ以外の選択ができたはずだとは自分には思えない。
だから、サスケの理解者であるはずのカカシが、この場面で、イタチの意志を継ぐはず、という発言をしたことが驚きだった。

カカシは、父親を自殺という形で失ってる。その状況からすれば、父親への複雑な思いがねじ曲がって、木ノ葉の里への恨みに変わったとしても不思議ではなかったと思うけれど、同期のオビトの言葉に救われた。カカシ自身、これまでたくさんの大切なものを守りきることができず失ってきた。カカシも言うようにサスケとカカシは似てるところがあるんだと思う。
だからと言って、カカシがサスケと同じ選択をするとは思わないし、サスケの選択を間違ってると考えるのは当然だとは思う。それでも、サスケのそういう選択を、考えも及ばないことだという反応をしたカカシがわからなかった。
(後に穢土転生した3代目は、サスケの口からイタチに復讐を果たしたこと、イタチの真相を知って木ノ葉への復讐に向かってると聞かされて、「、、、そうなったか」といった。3代目はうちはサスケを理解してたのかもしれない。少なくても3代目が生きていたら、サスケの里抜けはなかったんだろうなと思う。)


カカシの言葉は、ずっとなんでだろうと、心に引っかかってたんだけど、穢土転生したイタチの「里がどんなに闇や矛盾を抱えていようとオレは木ノ葉のうちはイタチだ」という言葉を読んでちょっと変わった。サスケじゃないけど、今まで当たり前のバックグラウンド以上に意識してなかった、木ノ葉の里について見方を変えて考えてみたからかもしれない。

カカシには、イタチの里への思いが痛いほどわかるんだろう。任務の中で友を失い、大切な人を手にかける事になったのは、究極里のためだった。暗部では、多分人の情としては、厳しい判断を迫られる場面も経験してきたと思う。それもすべては里のため、里の安寧を守るため。イタチもカカシもずっとそういう生き方をしてきたんだろう。
だから里を守るためにイタチが同胞殺しを選んだことも、里を守るために上層部がそう命じたことも、カカシには理解できたんだろうと思う。
木ノ葉の里と里を守るということに対する思いが、カカシとサスケではまるで違う(少なくともこの時点では違うと思う)から、カカシはサスケを理解仕切れなかったのではないかと思う。
(サスケはそういう意味ではダンゾウが言ったように、忍としてこの時点ではまだ甘かったのかもしれない。)