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ナルト No.590 お前をずっと愛している 感想(3)

「お前をずっと愛している」
、、、これはなかなか言えない言葉だと思う。「もう二度と言うことはない」と断ち切ったあの日から随分と時をおいてしまったけど、ストレートど真ん中。それでも、イタチにとっては、「ほんの少しだけ」伝えたにすぎないみたいだ。
「こうなる前に、、言っておけばよかったと、、 今となっては思うよ」 本当に言って欲しかったと思うけど、平和で穏やかな日々は失って初めて幸せだったと気付くように、その日々の中にいる時に、言葉に出して伝えようなんて思わないってのもわかる。それでもサスケに一言伝えておいて欲しかったなあ。それで何かが変わったってことにはならなかったとは思うけど。

イタチは、どれほどサスケのことを愛してるんだろう。
4歳で戦争を経験して、幼い目に多すぎるほどの人の死を見たイタチ。戦場での死に様には酷いものもあったんだろうと思う。イタチは幼い頃から聡明なこどもだったみたいだし、フガクの最後の言葉にもあるように、優しい子だったんだと思う。そうだとしたら、戦場で見た多くの死に対し、何も出来ない自分の非力さ、無力感を感じたかもしれない。まだ4歳では、明確な言葉にはならなかっただろうけど。
その一年後にサスケが生まれた。戦争が終わって誕生した新しい生命は、多分戦場での戦いを経験した両親にとっても、イタチにとっても希望の光そのものだったろうと思う。
当たり前のことなんだけど、一人ではなにもできないくせに、赤ん坊はこっちの都合なんかまるでお構いなしに、ただ生きようとする本能のままに大声で泣いて、周りを振り回す。個人差はあると思うけど、こんな小さい体のどこから出すんだろうとこちらが引いてしまうほどの大声で泣き続ける。よく続くなあと呆れてしまうほど(そんなに泣かすなよって話なんだけど)要求が通るまで泣き続ける。そのくせ欲求が満たされれば、拍子抜けするほどピタッと泣きやんで、次の瞬間には眠ってしまったりする。赤ん坊は本当に生命そのものだと思う。
戦場で多くの死を見て、多分その傷がまだ生々しく心にある中で生まれたサスケは、イタチにとって生まれたその時から特別な存在だったんだろうと思う。死者に対して無力だった自分を、ただ無心に求めてくるサスケ。何に代えても守らなければならないと強く思ったんだろうなあ。
イタチはサスケに、「誰よりもお前を子供あつかいし 守るべき対象としてしか見ず お前の力を信用していなかった」と言った。イタチの中には、小さな赤ちゃんだったサスケが、どこかに残ってたのかもしれない。


木ノ葉の里のために暁に入ったイタチは、鬼鮫に「冷酷な」と言われるほどだから、だいぶ非道なこともしてきたんだろうと思う。木ノ葉の里でも暗部に所属していたのだから、それはそれなりに厳しい任務もこなしてきたんだろうとは思うけど、里の任務と、里にとっての潜在的な敵のための仕事では、それはやっぱり違うと思う。鬼鮫と初対面の時、イタチは大層不機嫌そうな顔をしていたけれど、暁での任務は、冷酷に心を殺しでもしなければやっていけなかったのかもしれない。
でも、イタチにはサスケがいた。全てを失うことと引き換えに、たった一人残した弟。一族、父母を殺した罪を背負い、嘘に塗り固められた里抜け後の日々(嘘という点では里にいるときも2重スパイとして偽りの中で生きてきたんだろうけど)の中で、サスケを愛している自分だけはイタチに残された真実だったのかもしれない。
愛についてなんてこれまでそれほど考えたことがなかったけど、誰かを愛するということは、それだけで幸せで豊かな気持ちになれるのだと思う。多分文字通り殺伐とした日々の中で、サスケの存在、サスケを愛してるという自分の思いは、きっとイタチの救いにもなってたんじゃないかなあ。


サスケは最初から、イタチにとって無条件で愛するものだったんだろうと思う。

イタチがどれほどサスケのことを愛しているか、この時のサスケはまだきっとわかってない、多分。イタチもサスケにわかってもらおうとは思ってないと思う。
でも、その後のサスケを見ると、ここでイタチにもらった言葉は、サスケの救いになったんだろうということはわかる。