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NARUTOーナルトー 61巻・62巻 感想(3)

五影会談襲撃からダンゾウ戦にかけて、カリンも戸惑うほどの冷たいチャクラをまとっていたサスケ。なのに、穢土転生したイタチと遭遇して追いかけるときの物言いは、兄にわがままをぶつける幼い日のサスケを思わせる。

一方、穢土転生を解除するためにカブトの元に急ぐイタチは、そんなサスケを最初、持て余し気味に対応する。その口調と態度はいたって平常モードで、周囲の地形を変えるほどの派手な兄弟喧嘩の挙句死んだ人間が蘇ったという状況にいることなど感じさせもしない。
マダラを名乗るぐるぐる仮面の男に聞かされた”イタチの真実”については、よみがえる自分自身の記憶とも照らし合わせてほぼ事実なんだろうとサスケは認めてるように見える。それでも、サスケはダンゾウにも確認したし、イタチにも真実を求めている。

カリンごとダンゾウを刺し殺し、サクラにまで本気の殺意を向けたサスケは、仮面男に憎しみを煽られ、憎しみで心が塗りつぶされてしまったように見えるけど、その憎しみに色がついてるとしたら、多分1色ではないのだと思う。

サスケは、イタチと闘って倒した後、もしも”イタチの真実”を知ることがなかったら、どうなっていたんだろう。
あの時サスケは、まるで抜け殻のようにな虚ろな眼差しをしていたけれど。

幼い日からそのためだけに生きてきた復讐を遂げ、しばらくは空っぽの状態だとしても、やがては木ノ葉に戻り、里の忍びとして任務に励み、今度はうちは再興を目標に生きていったんだろうか。
多分イタチは、サスケにそんな道を歩んで欲しいとレールを敷いて死んでいったけれど、仮にマダラと名乗った男の妨害が入らなかったら、サスケはそのレールの上をきちんと歩いて行ったんだろうか。
”イタチの真実”を知らされることがなかったら、サスケの中で、イタチを殺して復讐を遂げたという事実をどう受け止めて消化していっただろう。イタチを殺すことで、サスケの憎しみは昇華しただろうか。

”イタチの真実”を知らされたサスケは、復讐を遂げたことを自分の中で消化し損ねたように思える。
兄は殺されるべきだった。うちはを滅ぼしたのだから。でも兄は殺されるべきではなかった。木ノ葉の平和を守ったのだから。
木ノ葉は潰さなければならない。兄に犠牲を強いて保たれている平和の中で何も知らずに里人は笑っているから。
でも、それは自分も同じだ。里の人間よりさらに”悪い”かもしれない。自分の手で兄を殺してしまったのだから。サスケの心のどこかにそんな思いがあってもおかしくないとは思うんだけど。

幼い時からイタチを殺すために生きてきたサスケにとって、”イタチの真実”を知った後、イタチを殺したことはどんな意味を持つのか、考えてみたけれど、結局よくわからなかった。

「オレをこんな風にさせたのは兄さんなんだぞ‼︎」と言ってるから、今の自分の状態が心から望んだ状態でないことは確かなんだとは思う。イタチが自分に望むことは、頭で理解はしてるけど、どうしようもない憎しみが木ノ葉へ向かう。
サスケの言動は単純で、単細胞すぎるだろうと時に言いたくなるほどだけど、その心を覆い尽くしている憎しみの層を何枚か剥がしてみれば、自分では到底解きほぐせないほどに、さまざまな矛盾する感情がもつれてあるような気がする。

カブトにイザナミの術をかけて穢土転生の解術を進める兄に、「アンタを理解すればするほど・・・アンタを苦しめた木ノ葉の里への憎しみがふくれ上がってくる」「ここで兄さんが里を守ろうとも、、、オレは必ず里を潰す」とサスケは言った。
木ノ葉へむける憎しみの大きさはそっくりそのままイタチへの愛情の大きさなんだと思うけど。ここでのサスケは、愛情も憎しみも自分を中心にしたもので、なかなか外へと向かっていかない。

木ノ葉隠れうちはイタチとして、、もう一度忍里を守ることができる、もうこの世界に未練はない」と言うイタチにサスケは「未練がないだと‼︎?」と食ってかかった。
幼い日のサスケにとって完璧に見えた兄。今も忍びとして完璧に思える兄に、サスケは何か答えを求めてるようだ。
穢土転生したイタチを追いかける途中でサスケは「俺はそんな道を望んじゃいない‼︎」と言ったけど、この食ってかかるシーンのサスケは、兄の導きを無意識に求めているような感じがする。この時サスケは、16歳くらいなのかな?同期は立派な戦力として戦争に参加してる。この年齢は子供なのか大人なのか、どっちとも言えるしどっちと言えない気がする。けど、幼い時から、兄の敷いたレールの上を結果としてたどってきただけのサスケは、ここで兄に、オレをこんな風にしてどうしてくれる⁉︎と食ってかかるほどには子供みたいだ。

対してイタチは、サスケを信じることでなく、レールを敷いて操るというやり方そのものが失敗だったと認めてるから、サスケがなんと言おうと、里を守るために今できることをする姿をサスケに見せることしかしない。「オレを見てオレになかったものをお前には探してほしい」と望んでるだけのようだ。
イタチはサスケにそれを示す道標としてナルトを選んだ。サスケが、ナルトによって変わることができるのか。イタチはナルトを信頼してると思う。