読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ナルト NO403 涙 感想

ナルト

この403話はサスケとナルトのそれぞれの回想で描かれる、とても静かなエピソード回で、まだ全巻読んでないんだけど、50巻近く読んできた中では、かなり独特な雰囲気のある回だなと思います。

サスケがイタチを殺したことを知ったナルトは、サスケ追跡中にイタチと出会ったことを思い出す。365・366話で描かれてたシーンだ。イタチはサスケとの決着に向かう前に、ナルトに会いに来たらしい。

イタチは、自分が殺されることでサスケの復讐を完結させたいと願う一方で、そうはならない可能性の方が高いと踏んでたみたいだ。あらかじめマダラをサスケに接触させないような手立てをとっていたし、ここでナルトに会いに来たのも、サスケの復讐劇第2弾があった場合の保険をかけるためなんだと思う。さすがお兄ちゃんは弟の性質をよくわかってる。イタチがナルトにどんな力を分けたのかわからないけど、里よりもサスケの命が重いというイタチのことだから、サスケを殺さず止めることに役立つ力なのかもしれない。

イタチが、なぜ抜け忍の弟にそこまでこだわるのかとナルトに尋ねた時、ナルトは、兄弟だと思ってるからだと答えた。
それを聞いたイタチの口元が微かに緩んでるように見えたから、ナルトがそこまでサスケを思ってくれることが嬉しかったのかなと、思いかけたんだけど、イタチがそんな単純なはずもないだろうと思い直した。

ナルトは簡単に、兄弟という単語を口にしたけど、イタチにとってその言葉は、そう簡単に使える言葉ではないように思う。友も恋人も親も、一族皆殺しを実行したその男が、ただ一人殺せなかった弟、最初から殺せないと決めていたのか、最後まで自分でも決められなかったのか、その辺はわからないけど、どうしてもできなかった存在。自分の全存在をかけて弟を守った兄。肉体の死を賭しただけでなく、弟のために、真実の自分の姿まで永遠に消し去ろうとした。いつかわかってもらえればいい、っていうのが永遠にないって、辛すぎる。それが兄としてのイタチだとすると、兄弟という言葉が重すぎて、やっぱり単純に嬉しいって反応はないなあ、と思う。

それでも、ナルトがサスケを大切な存在だと思ってることを確認した次は、その思いがどれほどの深さなのかを測ろうとするかのように、ナルトに問いを畳み掛けた。
サスケが里を襲ってきたらお前はどうするか。サスケを殺して里を守るか、サスケを取るか。厳しい選択を迫る問いだ。
それは、かつてイタチ自身が直面した問いでもある。
ナルトは、どちらも選ばない。里も守るし、サスケも殺さず止める。それは、絵空事だというイタチ。
それでも自分の言葉は曲げないのが自分の忍道だ、と言い切るナルトに見せたイタチの表情は笑顔だった。ナルトがその言葉通りの結果を得られるかどうかまでイタチは予測できなかったろうけど、自分の死後もサスケが一人ではないということは確認できたんだろうな。


そのサスケは、夜月を眺めてる。マダラを完全に信頼してるとは思えないんだけど、とても静かにマダラと話してる。月を眺めるサスケの表情は、穏やかで、憎しみなど知らない子供みたいだ。忌まわしい記憶として封じ込めていた夜の記憶を、ようやく思い起こすことができるようになったというサスケは、あの夜イタチが涙を流してたことを思い出す。
サスケはここで、イタチの望んだ通りにはできないとといった。激情の復讐心にかられるままに、「木ノ葉を潰す」と言った時とはまるで違う表情だ。イタチが何を望んだのかわかってるんだ。でも、その通りにはしてあげないんだね。わかった上で復讐を選んだサスケの表情は、清々しささえ感じられる。大人になれよ、っていう言い方もできるのかもしれないけど、残酷な子供、っていう面があるのも、サスケの魅力のひとつだからなあ。かなり人による、とは思うけど。
「サスケはまだ純粋だ 簡単に何色にも染まる」イタチは、それを良いとも悪いとも評価しない。ただそのままのサスケを愛してるんだろうなあ。弟って、そんなに特別なものなのかな。