ナルト 43巻 真実を知る者 感想

バトル漫画は、今までちゃんと読んだことがない。バトルのシーンが苦手だからだ。血や肉が飛び散るのがグロくて嫌っていう種類の苦手ではないんだけど。スポーツも、格闘技は興味ないから、多分その延長だ。

なのに、なぜ、ナルトを読み始めたのか。
少年ジャンプの罠にまんまとはまってしまったから、としか言いようがない。

少年ジャンプのサイトの、12月31日までナルト100話無料&毎日1話配信を、ちょっと暇つぶしのつもりで読み始めたら、これが意外に面白くて、13巻から単行本を買い始めてしまった。30巻くらいまでいけば、どっかで止められるだろうと思いつつ、43巻まで来て、結局まだ止められそうもない。
年賀状もやらなきゃいけないし、12月は結構いろんなことが前倒しでやってくるから、本当は自分でもマンガなんか読んでちゃいけないとわかってるんだけど。


43巻は、サスケの復讐譚の終わりと始まりの巻だ。
サスケの回想に度々出てくるイタチの言葉「みにくく生きのびるがいい・・・逃げて・・逃げて・・・生にしがみつくがいい」は、自分への憎しみを煽るような言葉使いの裏に、サスケに対する何としても生きろ、というイタチの願いが込められてるのだと思ってた。
一族みな殺しの現場を幼い時に経験したサスケが、その後も生き続けるためには、兄への憎しみを糧にするほかなかったろうし。イタチには何かわけがあるんだろうとは思ってたけど、こうきたか、って真相だった。
マダラには、まだ何か隠してることがありそうだから、その話をマダラの説明のままに信じることはできないんだけど、イタチのサスケに対する想いの真相はそのまま受け取っていいんだろうと思う。


43巻の前半、イタチとサスケの戦いのラストで、イタチがサスケを小突くシーンは、イタチがサスケの眼を取ろうとして力尽きたのか、最初から弟の額を小突くつもりだったのか、どっちにも受け取れる。何か言ってるイタチの口元は描かれてるんだけど、何を言ってるのかわからない。微かに笑ってるようだけど、その表情もコマで切られててわからない。

 

復讐を果たした後、マダラからイタチの真相を聞かされるサスケの脳裏には、何回もそのイタチの最後の場面が出てくる。サスケに手を伸ばすイタチ、最後に倒れこむイタチ。そこでも、イタチの最後の表情はわからない。
43巻のラストのエピソードは、サスケの幼い頃の兄との回想から始まり、イタチの最後の場面につながる。そりゃあ、ここまでイタチの真相を見てきたんだから、もうここで見るイタチの最後は、弟を小突くお兄ちゃんに戻ってるんだろうとわかるけど。

巻き戻された映像を見るような流れのままページをめくると、ページいっぱいに描かれたイタチの笑顔と最後の言葉。もうこれだけで泣ける。

なのに、次のページをめくったら、あのサスケが声を出さずにボロ泣きする姿が同じようにページいっぱいに描かれてた。もうサスケと一緒に号泣してしまう。ここまでの6ページ、セリフはイタチの最後の言葉だけで、あとは絵のみ。
漫画っていいですねえ、と、こういう表現見ると思う。

43巻のラストシーン。サスケが選んだのは、兄が望んだのとは別の道だった。サスケがさらなる復讐に走ることのないように、自分の死後のことまで手回ししといたのに。イタチの想いはどうするんだ、サスケ、と思う。大蛇丸のアジトでナルトと再会した時に、復讐を遂げることができれば、それ以外のことがどうなろうと知ったことではないと言ってから、基本サスケは変わってないみたいだ。サスケはナルトのことを子供だと言ったけど、サスケこそ子供の頃から変わってないと思う。
けど、ここでサスケが選んだ道を非難することはできないなあ。
それは、43巻後半を通して、サスケの受けた衝撃を見てきたからかもしれないし、子供じみたところもすべてひっくるめてイタチが愛したサスケだと思うと、ここから先のサスケを、イタチ視点で見てみたいと思うからかもしれない。


自分への憎しみを弟の生きる力とさせ、憎しみの果てに自分を殺させることで、弟の復讐を完結させようとした。すべてを自分1人で負ってまで、サスケを守ろうとしたイタチの弟への思いは、求めることのない愛なんだと思う。
4歳の時に戦争を体験したイタチ。サスケとの年齢差は5歳らしいから、戦争でたくさんの死者を見て1年も経たずに、サスケが生まれたんだろう。深い心の傷を負った5歳のイタチは、命そのもののような赤ん坊の存在に、少しづつ癒されていったかもしれない。そう思うと、イタチのサスケへの想いの深さが理解できる気がする。