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ハイキュー!! 第224話 返還 感想

王位復権おめでとう!

表紙をめくった1ページ目からラスト19ページ目までの、影山の表情の変化を見るだけでも、今週号買ってよかった。

ジェットコースターみたいな展開だった。

ーおりこうさんの意味ー

衝撃的だったのは、旭さんに怒鳴ってしまった後の影山の顔。
先週の旭さんへの、「じゃあ決めて下さいよ」という言葉もショックだったけど、今回のこの表情は、それを上回る。
影山がこんな顔するなんて。
ユースで真面目で素直な子どもみたいな表情を見せたのも印象的だったけど、この顔は、自分で自分に驚いて、凍り付いてしまった時の4歳児みたいな表情だ。4歳児がこの顔をしたら、パニックになって、次の瞬間には泣いてる。ほんと、びっくりした。

感情を抑えきれず怒鳴ってしまって、次の瞬間、北一で同じようにチームメイトに怒鳴って自分の要求を押し付けたことが浮かんで、ハッと我に返った、だけの表情じゃないような感じがする。

北一トス無視事件の後、速攻を上げることを怖がっていた影山は、変人速攻という手段を見つけることで、速攻を上げることへの恐怖は克服できた。
けど、もう一つの恐怖、チームメイトに自分の感情を伝えること、要求を出すことに対する恐怖は、ずっと持ったままだったんだ。北一でそれに失敗して、チームメイトの信頼を完全に失ったから。北一では、一方的に自分の思いを押し付けるばかりだったからなあ。

人1人に拒絶されるのも辛いのに、それが5人からの拒絶だったら。
あの体験はかなりトラウマになるひどい体験だとは思ってたけど、ちょっと想像以上のダメージを食らってたみたいだ。
自業自得の部分は確かに大きいとは思うけど、影山自身、勝つために突き進んでしまった結果で、本人に悪意があったわけではないから、余計つらい 。
自分のありのままを出しての対人関係の失敗は、本当きついと思う。失敗した時に、逃げ場がなくなってしまうから。影山の場合、同時に5人からの拒絶だし。
本人にしたら、次にどうしたらいいかわかんなかったろうと思う。で、結果としては、影山にとって本来なら一番自分を表現出来る場所で、自分を出すことをやめた。出さなければ、失敗しても逃げ場を残せる。自分の思いを伝えてわかってもらおうとすることと、思いを一方的に押し付けて従わせようとすることじゃ全然違うんだけど。事が対人間となると、途端に不器用になってしまう。言い方がアレだからそうは見えないけど、真面目で素直だからこその極端な反応なんだろうな。
ほんとアンバランスだと思う。
才能がアンバランスな心にのっかてる。試合中は強気一辺倒みたいだし、メンタルが弱いということでは決してないんだけど、才能が突出しすぎていて、そこまでは心が追いついてない感じはする。
ユースの監督が、天才は完璧からは最も遠いって言ってたけど、こういう事も含んでるのかもしれない。でもまだ15歳だから。
影山がスパイカーへの要求を、自分で意識的に封印したのか、無意識に抑える事になってしまったのかはわからないけど、無意識だとしたら、傷はその分大きかったという事になる。多分、自分を抑えたその底には、純粋な恐怖があったんだと思う。


一旦口から出てしまった言葉は取り消す事はできないけど、影山は、すぐに謝ろうとした。
烏野で、影山はチームメイトを信頼すること、信頼されることを知った。苦手なコミュニケーションも努力するようになったし(今度は要求を受け入れるだけになったから、やっぱりコミュニケーションとは違うかもしれないけど)、プレースタイルも変えた。試合での結果も出してきた。影山にとって、烏野はとても大事な存在になったんだと思う。
だから、怒鳴ってしまった瞬間に影山は、北一時代のトラウマよりも、大切な存在を失うかもしれないという恐怖の方をより強く感じたんじゃないだろうか。そのすぐ後の表情には、そんな恐怖から来るパニックがあるような気がする。得たものが大きいと失う恐怖も大きくなるしね。

で、謝ろうとした影山を遮ったのは、日向。

影山が日向に救われるのは、前回と同じなんだけど、今回はそこから先が違う。
日向の言葉に田中さんが続き、王様発言をした月島も続く。(月島の「左に同じ」が、なんだかとても嬉しかった。白鳥沢戦で、お互い口は悪いながらも、チームメイトとしていい感じの関係になったなあと思ってたから、先週の終わり方にものすごい違和感があったんだけど、この一言で、その違和感も解消した。)
通常モードの烏野の面々の言葉がありがたい。
旭さんは影山の表情を見ての大人の対応かなぁ 。「優しく言って欲しい」、は本音ではあるんだろうけど。
烏野というチーム全体が、影山の存在を、王様である事も含めて(王様への反発を一番持ってたみたいな月島さえ)もうとっくに受け入れてるということが、前回、日向1人が影山を救った時とは違ってる。
最初に独裁の王様の件を知ってから、9ヶ月。烏野というチームが、着実に出来上がってきていたんだとうことを、久々に感じることができた気がする。
烏養さんの言葉に、おりこうさんの謎が解けて、旭さん、田中さんが伊達工のブロック相手に何を試してるのかもわかった。凍りついてしまったコマから田中さん相手に眉間にしわを寄せた通常モードに戻った顔をしたコマまで、影山は一言も発してないんだけど、表情だけで気持ちの変化がわかる気がする。

白鳥沢での合宿の最後に、日向が金田一に言った、影山も大丈夫だ、って、言葉が足りない。烏野だから大丈夫だ、ってことだったんだと思う。


ーセッターのストレスー

前回、影山の苛立ちが募っていく様子が描かれていたんだけど、ちょっと唐突な感じがして、よくわからなかった。
強さが心地良い、ってセットの中頃までは確かに試合を楽しんでいたはずなのに。セット終盤にかけて、影山自身は、ファインプレーはするし、セットアップもずっといいのを続けてるのに、メンタルだけが崩れていく感じ。相手のブロックの強さを、それと戦うことを楽しんでいたんだと思ってたから、なんでそうなるのかがわからなかった。公式戦じゃあるまいし、勝利だけにこだわってるわけでもないだろうから。だから、スパイカーに対する苛立ちだけじゃないと思ってたんだけど。

今回の最初のシーンの影山のモノローグで、やっとわかった。
せっかく強さを楽しんでるのに、それがクライマックスに差し掛かったところでぶち切られてしまう。それの繰り返し。それじゃあ、たまりまくりますね。セッターって大変だなあ。
自分の調子が悪くても、もちろんイライラは溜まるだろうけど、それ以上に、スパイカーの調子が悪い時のフラストレーションの溜まり方は、半端じゃないんだ。自分がいい時はなおのこと。
セッターはメンタルが強くなきゃいけないと、菅原さんが言ってたのも納得。


ー王様復活ー

金田一はボール1個分だったけど、影山は、月島に1個半分の高さを要求した。練習中の日向の一言があったとはいえ、試合中に、たった2回で月島の打点を高くしてしまった。田中さんへのロングトスもそうだけど、天才は軽やかに凡人を超えてしまうんだなあとつくづく感じた。天才むかつくというのもわかる気がする。
自分の思う通りの結果を月島に出させた影山の満足そうな顔。ここんとこずっと、影山の顔が、幼い顔つきで描かれていたような感じがしてたけど、こっから変わっていくのかな。

スパイカーの癖にまで合わせてボールをあげてた正確な技術を、もう自分を抑えることもなく、思ったままに使っていける。本来の影山が戻ったのだとすれば、これまでとは違った形の試合展開が見られるはずだから、本当に春高が楽しみ。できたらその前に、王様セッターと他のスパイカーの関係を、もうちょっと掘り下げて見せて欲しい気もするけど。

日向によるごみ捨て場の戴冠式の場面。これを描きたくて話の展開を持ってきたんじゃないかと思うくらい、絵が良かった。日向に王冠をばさっと被せられて、影山の表情が見えない。ちょくちょく思うんだけど、ここは見たいって表情はわりと見せてくれないですね。

影山は王様だけど、どう考えても対等じゃなさそうな日向と、しっかり対等な関係でいる。

時に日向がリードするくらいの勢いがある時が好きだけど、春高はどうなるかなあ。