「第一線救護衛生員」の記事を読んで

今日の東京新聞に、「自衛官に戦場治療を教育」という記事が載っていた。

『有事の際に負傷した自衛隊員の治療体制拡充を検討してきた防衛省有識者会議は21日、無線途絶などで医師の指示が得られなくても、救命行為が可能な隊員の養成などを盛り込んだ報告書をまとめた。防衛省は来年から教育を開始。』(東京新聞9月22日朝刊)

 

記事によると、本来医師の指示や助言がないとできない救命処置を、医師の指示なしでも可能にする仕組みを整えると言う。前線と後方の連絡が途絶えて、医師の指示が受けられない場合もありうるからだ。

具体的には、『救急救命士准看護師の資格を持つ隊員に200時間程度の教育を施し「第一線救護衛生員」と位置付ける。両資格を持つのは約800人。習得する救命行為は①外科的気道確保②胸に溜まった空気を抜く胸腔穿刺③出血時の骨髄などへの輸液投与④鎮痛剤の投与⑤抗生剤の投与
の5項目。』で、『わが国が外部から武力攻撃を受けた事態』を想定。

第一線救護衛生員の定義が、有事救命処置に関する教育を修了し、有事救命処置を実施できると認定を受けたもの、となってて、有事の定義が、わが国が外部から武力攻撃を受けた事態とあるから、あくまで国内を想定してるということらしい。
『ある自衛隊幹部は「医師の指示を受けられないような事態が起こり得るのは、国内よりむしろ国外有事。海外活動が増える安保法と関係ないということはあり得ない」と指摘。「実戦経験のない隊員に教育を施しただけで機能するのか」と実効性にも疑問を投げかけた。』と記事にあるけど、国内より海外用って見る方が自然な感じがする。

 

元になってるのは、米軍のTCCC(戦術的戦傷救護)ガイドラインみたいだ。
防衛省の資料によると、1993年から1995年に米特殊作戦軍と軍保険医科大学で作成され、2010年から米軍全軍に導入され、世界52カ国で導入されてるガイドライン
このガイドラインの導入で、イラク・アフガン戦での施設収容前の戦死者数が改善したという。


自衛隊の資料に、シナリオ訓練の症例の一例(案)と題されたページがあった。
負傷別にその負傷の想定されるシーンと容態、その場合どのような処置をするのか、狙いと具体的処置が表にされていた。

四肢切断の項目では、「隊員は戦闘中に下腿に砲弾破片の直撃を受け、左下腿の膝から先が離断している。」とあり、この場合は「ショックの評価と循環の維持」を行う狙いで具体的処置としては「止血帯による緊縛止血を実施する」「循環の低下が認められることから、輸液蘇生を実施する。」とあった。

砲弾の破片の直撃を食らって、膝から下が吹っ飛んで大量に出血してる状態の処置の場面だ。

先日見たアフガンの戦争を描いた映画で、地雷を踏んで腿から下が吹っ飛んだ兵士の救護シーンがあった。(止血帯で止血してたけど、叫び声を上げるほどだったから、相当痛いみたいだ。)
自衛隊の資料が想定するそのままみたいなシーンだ。

 

有事のことを考えなければ有事にならないなんてことは思ってないし、戦場での避けられる死があるなら、そのために有効な手段はどんどん取り入れて、準備だけは怠りなくしておくべきだと思う。けど、なんだか嫌な感じがするのは、導入時に想定してるのは、国内有事というけれど、世界中で行われるかもしれないアメリカの後方支援のための、具体的準備のひとつって感じがするからだ。多分。