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南スーダンへの自衛隊派遣についての報道を読んで

11月に南スーダンPKOに派遣される予定の部隊を中心に、陸上自衛隊が「駆けつけ警護」PKOに関する新任務の実働訓練を始めたという記事が9月16日付東京新聞にのっていた。新任務の付与については、期限までに現地治安情勢や訓練の習熟度、世論動向などを見極めて政府が最終判断をするという。来月になるらしい。
前回の部隊派遣の時は、選挙への影響も考えて、駆けつけ警護は新任務にいれなかった、と報道されてたと記憶してるけど、参院選も終わったし、おまけに勝ったし。

 

安保関連法が成立して1年経つというけど、この1年の間に、自分について言えば、理解は全く深まってない。
国連平和維持活動、というけど、南スーダンの現状についても、維持すべき平和な状況であるのかどうかさえ、時折しかない報道では、よくわからない。
安保法の論議の時、国民には丁寧な説明で引き続き理解を求めていく、というようなスタンスで行くと聞いたような気がするけど、一体どこでどうやって、政府は丁寧な説明を続けてるんだろう。ざっと新聞を読んだり、テレビのニュースを見たりする程度では、とりあえず政府の丁寧な説明をキャッチできてないから、もっと積極的に情報を求めろ、ってことなのかなあ。すごく忙しいというわけではないけど、退屈で困ってるってほどでもないから、そこまでする時間はなかなか作れない。

 

自衛隊の駆けつけ警護任務に関連して、自衛隊の装備品についての記事が、割と最近(だったと思う)の東京新聞特報欄に載っていた。
自衛隊員の現行の支給品で実際の戦場の救護が有効に行えるのか、という記事だった。
例えば、米軍は平時、止血帯2本を含む12品目が支給され、戦闘時は、胸を打たれた際に使う針なども加え、20品目支給される。
それに対し、陸自は国内では、止血帯1本、包帯1本など3品目で、元陸自教官によると「たった一か所の貫通銃創にも対応できない」そうだ。
南スーダンへの派遣部隊には、ハサミや手袋などを加えた8品目の支給に増えるけど、数だけでも米軍より少ない。
さらに、懸念されるのは、訓練不足で使い方に習熟しないまま派遣されてるのでは、ということ。

記事によれば、防衛省でも、「防衛省自衛官の第1線救護における的確な救命に関する検討会」を開いて検討をしているという。
米軍は過去の多くの戦場で学び、気道確保、輸液、針を刺して空気を抜くなどの処置のガイドラインを策定、戦死者の低減に成功したという。
このような米軍の例を取り入れることを提言しても、日本の現行の医師法では、医師や薬剤師以外の外科的処置や薬剤投与を認めていない。

法も整ってない、救急キットの中身も乏しい、装甲救急車もない(他国軍にはあるらしい)、訓練も十分かどうかわからない。
「他の軍隊なら助かる負傷でも、現状の備えでは止血もできず、高い確率で隊員が死亡する。」南スーダンで起きる最悪の可能性だそうだ。


こんな状態のまま、新しい任務の付与を検討とか、マジですか。と、びっくりしたんだけど、朝日新聞によると、南スーダンPKO部隊に、即応対処チーム(QRF)を設けるという。
40〜50人程度のチームで、機関銃や小銃で武装した隊員を中心に医官救急救命士なども加えるという。(通常の派遣部隊は約350人)
任務は、駆けつけ警護や、他国軍と共同で行う宿営地警備。『陸自幹部は「現場に急行して敵を攻撃し、駆逐できる高い戦闘能力を持たせる」としており、今後、南スーダンの市街地を模した演習場内の施設などで訓練を重ねるという。』(朝日新聞ウェブ版より)
2004年に始まったイラク復興支援活動でテロの襲撃などに備えて初めて組織されたそうだ。
毎日新聞の20日配信の記事によると、政府は11月交代の陸上自衛隊部隊に対し付与する方針の「駆けつけ警護」の地理的範囲を、首都ジュバ周辺に制限する方針を固めたという。

 

高い戦闘能力を持った専門の別動チームを出すんですね。医官救急救命士もいるというし、他国の軍隊なら助かる負傷でも、ということにはならないんだろう。

「現場に急行して敵を攻撃し、駆逐できる高い戦闘能力を持たせる」そういう部隊を日本から約11000㎞離れたアフリカの国に派遣することができてしまう。
今はとんでもなく違和感を感じる表現なんだけど、もしかしたら、来年の今頃には、もう何の違和感も感じなくなってしまうのかもしれない。

 

昨日だか一昨日の夜のニュース番組で、東京外語大学教授の伊勢崎賢治さんが、PKOの今の第一の任務は、地元住民の保護、になってると言ってた。
それに、部隊を一旦出してしまったら、現地住民の保護なしで、前提条件が変化したからといって、そう簡単に引き上げることはできない、という。だから、今、南スーダンのような国のPKOは、破綻したら難民の流入の恐れがある、混乱に直接のリスクを負う、近隣諸国が中心となって部隊を派遣してるのだという。先進国の役割は直接の部隊の派遣から変化してるのだという。

「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」には、伊勢谷さんの言うような、地元民の保護というのも、含まれるんだろうか。