読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ハイキュー!! 第212話 視点 感想

ハイキュー!!の事

烏養さんは、日向のことが心配でたまらないんだと思ってた。春高直前のこの時期に、春高で勝つということを目指したコーチとしての心配。

でも、それは違ったみたいだ。チームの勝利のために、日向個人の成長のために当然必要だった練習に目をつぶってきてしまったことへの、多分 後悔とまではいかなくても、迷いのようなものだったみたいだ。
素人に毛が生えた程度にも関わらず、烏野の人材不足と影山というセッターの存在のおかげで、途中をすっ飛ばして最初からレギュラーとしてコートに立った日向。武田先生の言う通り、それで得た武器もあるけれど、本来得なければならなかったことも、たくさん置き去りにしてきてしまった。
烏養さんは、正セッター選びに迷った時もそうだったけど、勝利のために非情になりきることを、簡単にできないとこがいいな。

 

体育倉庫のマットから復活した日向は、試合終盤に見せるような集中した表情で、コートを見つめる。今まで、コートの上の誰かを自分に置き換えたり、コートに立った時に飛んでくるボールをどうするか、という目で見つめていた。日向の視点は常に自分が戦うモードからのものだったんだろう。でも、今はそれができない。わかっているけど認められなかったその事実を、自分の中で日向はついに整理できたみたいだ。

「俺はコートにいない、コート上の誰でもない」

倉庫から出てきた日向の表情が一変してることに気づいた天童さんは、「気持ち悪いね」と表現した。
確かに、わずか数分の間の表情の変化。それは、多分わずか数分の間に何かつかんだものがあるということを表していて、それが何なのかわからないけど、日向の恐ろしいほどの成長速度を見せつけられてるようでもある。確かに普通じゃない。気味が悪いかもしれない。
視点を変える、って、やれって言われてすぐできることじゃない。自分で気づかないと、多分できない類のことだ。


コートの外から見るという同じ行為でも、コートの中にいるつもりになって見ることと、完全に自分をコートの外に置いて見ることでは、見えてくるものも違ってくるんだろうな。経験者じゃないから、どういう点が違ってくるのかは、具体的にはよくわからないけど。どうやら、日向にとってはコートの中は情報の宝庫のように見えるらしい。
それは、途中をすっ飛ばしての今だからこそ、なのかもしれない。烏野で、最初からこの位置にいたら、「コートの中には情報がいっぱいだ」ってことに気づくまでに、それこそ何ヶ月もかかったのかもしれない。でも、基礎がない中で実践を積み重ねてきた経験がある分、それに早く気付くことができたのかもしれない。武田先生の言う通り、正解なんて分からない。

 

ラストページの日向は後ろを向いてるけど、視点を変えることで世界が一変して見えるような、新しいことが始まる前のワクワクした、キラキラの表情してるんだろうな。

 

そういえば、日向の相棒の影山の方は、青城の偵察に行ったり、牛島にも最初から偵察を申し込んだり、相手を見るということについては当たり前のように自然にやってた。東京合宿の話が来た時も、研磨のセットアップを見られることが嬉しそう(表情は邪悪だったけど)だったし、ユースでサクサを間近に見られることにもソワソワしてた。変人速攻を初めてやった3対3の時も、コート上のすべてを把握するのはしんどいけど面白い、と子供みたいな顔してたし(子供なんだけど)。
視野の広さと選手個々の個性の把握ってのが、多分要求されるポジションということもあるかもしれないけど。
中学で県ベストのセッターを、間近で1年見ることができたのは、(教えてくれない分見て覚えなきゃならないこともあったし)影山にとって、コンプレックスを負うことにもなっちゃったけど、いい経験だったんだろうな。


とりあえず、日向は浮上したことだし、そろそろユースの方も見せていただきたいのですが。
あと、古館先生の描くスプラッタステップも、いつか見てみたいです。