「神様メール」を見た感想

子供がどうしても見たいというので連れて行った。子供から聞いた予備知識としては、神様が人間に悪さばかりするから、神の娘が怒って全ての人間に余命をメールで一斉送信してしまい、その後始末に人間界に降りて来る、っていうような内容。ドタバタみたいなコメディなのかなと思っていったら、ちょっと思ってたのとは違う雰囲気の映画だった。(そもそもアメリカ映画だと思って行ったから、ベルギーの映画ってとこでまずちょっとびっくり)

 

神様が人間にいたずらばかりする、って表現は生優しすぎ。この神様はとんでもない奴でした。支配欲の塊で他人に苦痛を与えるのが何よりの楽しみで、家庭内では典型的なDV親父。この世の全てを、パソコン一台で管理してる。パソコンで戦争を起こし、パソコンで人の運命を操り、ちょっとした法則を作る。パンは必ずジャムの側から落ちる法則(掃除がめんどくさい)とか、スーパーでレジに並ぶと、必ず隣の列の方が早く進む法則とか。ちょっとした意地悪の法則なんだけど、こういうのにイラっとくるのは世界共通なんだと思うとおかしかった。

自分勝手で粗暴な父親に、娘エアーは我慢の限界を超える。で、家出。家を出る前に、神の権威を貶めようと、全世界の人間に、その人の余命を一斉送信して、ついでにパソコンをフリーズ状態に。
エアーは、兄イエスキリストを倣って、使徒を6人作って、新・新訳聖書を書いて、父親がひどいことばかりするこの世で、人間の苦しみを救う存在になろうとする。
パソコンを使えなくされた父親は、パソコンなしでは何もできず、怒り狂って娘の後を追う。
6人の使徒とのエピソードと娘を追っかける神のエピソードがここから交差して映画は進んでいく。

聖書の神様は人間に試練を与える存在ってイメージがあるんだけど、この映画では、娘を捜しに人間界に降りてきた神様が、逆に試練を受ける。と言っても、聖書で神様が人間に与える試練とは違って、そりゃそんなことされるのも元はあなたが悪いでしょ、っていう条理のある試練なんだけど。しょっぱなから、防犯スプレー(唐辛子成分とかのスプレーなのかも)を吹きかけられ、街では殴る蹴るの暴力を受け、川で溺れ、最後はウズベキスタンに送られて、工場で洗濯機を組み立てる(多分)強制的な労働につかされる。

愛のかけらもない神様なんだけど、6人の使徒のエピソードは、愛こそ全て、って感じ。
人にはそれぞれ音楽があって私にはそれがわかる、とエアーは言う。人間の創造主はあのとんでもない神様だけど、人間の作った音楽は美しい。

ちょこちょこ笑える場面があって、コメディといえばコメディなのかもしれないけど、見終わって、後から、ふっと思い出し笑いをしてしまう、っていう感じの映画だった。
聖書の知識がないから、神様の娘のエアーが起こす小さな奇跡の元ネタがわからなかったんだけど(水上を歩くシーンだけはさすがに分かった)、聖書をよくわかってる人なら、もっと笑えたのかも。
でも、めんどくさいから何も考えずに見て、素直にちょこちょこ笑ってれば、面白い映画だと思う。


神様の妻である女神様は、神様に毎日言葉の暴力を受けて、刺繍と野球カードだけが楽しみの、子供も守りきれなそうなぼんやりした存在だったんだけど、神様がいなくなって幸せそう。
主のいなくなったパソコンを女神様が操作して、女神様の頭の中と同じような花畑に変えていく、ってラスト。
パソコンを立ち上げた時、お久しぶりです女神様、ってパソコンがメッセージを出してたから、かつては女神が世界を支配してた時代があったのかもしれない。今は神様はウズベキスタンにいるけど、いつかパソコンの前に戻ってくるかもしれない。その時は憎しみがパワーアップしてるんだろうなあ。それはこの世の終わりかも。