「天空の蜂」をWOWOWで見て

WOWOWで、「天空の蜂」を観た。
WOWOWの番組表によると『直木賞作家東野圭吾のベストセラーを江口洋介本木雅弘ら豪華キャストで映画化したサスペンス。史上最悪の原発テロ事件解決に奔走する人々の8時間のドラマを活写する。』

表の犯人と、実は身内(解決に奔走する人たち)にいるもうひとりの犯人のふたりとも、原発がらみの個人的な出来事をきっかけに、原発を狙ったテロを起こす。
その道具として選ばれたのが、新しく開発された自衛隊に納める予定の大型ヘリ、ビッグB。
これをラジコンで無人操縦、高速増殖炉の上でホバリングさせ、燃料切れで墜落するまで8時間の間に、日本中の原発を止めろという要求を出す。たまたまこのヘリに忍び込んでた子供の救出劇が前半、後半は対テロ犯で、原発をどうするか。

不都合なものは見ない、見たくないものは見ないで、存在しないものとする。そういうこの国の大多数の人間に、そしてこの国に思い知らせてやる、的な?
本当に狂っているのは誰か、ということを思い知らせてやる、的な?

子供がどうなるのか、原発がどうなるのか、締め切り時間のあるサスペンスだから、普通にハラハラはするんだけど、洗い物の手を止めて画面に釘付け、ってほどではなかった。

裏の犯人は、原発がらみでいじめを受けた自分の子供に目の前で飛び降り自殺されたことが動機につながっていくんだけど、なんでこの犯人は、ろくすっぽ知りもしない大多数の人たちに対して、この国の見て見ぬ振りをするすべての人たちっていうレッテルを貼って、自分の個人的な問題を大きく広げてしまうんだろう。
身内の犯人が、実はヘリが原発に墜落しても絶対に放射能漏れなどないように計算していたことが最後にわかるんだけど(表の犯人がそこまで知ってたのかどうかはわからない)それが何?って感じ。

 

 

なんか消化不良な感じの映画。名探偵コナンを見て(特に映画)時々感じる、そんなことでこんなに人殺すなよ、っていう感じに近いかもしれない。動機と行為の重さが釣り合わない。

実際の犯罪もそういうケースが多いのかもしれない。それがわかった時の虚しさみたいなものを感じられればそれはそれで、良かったんだけど、登場人物が定型的で深みがないから、そんなものも感じない。セリフもなあ。家族は血を流しあって作っていくとか言われても、そんな修羅場な家族は嫌だ。

意外に一番印象的だったのが、ベテラン刑事と組んで、最初は適当に仕事をやってる感じだった、頼りなさげな髪型の若い相方刑事が、表の犯人に刺されながらもしがみついて、さらに刺されるんだけど、犯人に手錠をかけて、逃げる犯人に引きずられるシーン。蛇足的な言い訳じみたラストのもう1人の犯人の言葉があったって、結局は、この刑事ひとりの命を奪い、この刑事の家族(意外に結婚してて、幼い男の子の父親だったことが最後にわかった)を悲しみの底に突き落としてたんですね。人殺し、ってことになってしまった。

 

イムリミット付きのサスペンスアクションに徹するんだったら、それはそれで面白い題材だったんだろうと思うけど。

 

お金払って、映画館で見たら、うーん、なんだか釈然としないって感想だったかも。