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象のハナコさんだと思ってた

井の頭のはな子さんが死んだ。子供が小さい時は実家に帰った時には必ず行ってたけど、ここんとこは帰っても、池の方しか行ってなかったから、はな子さんに最後にあったのは、もう何年も前だ。
いつも横向きか、こちらにおしりを向けて、ゆらゆら揺れてた。

井の頭文化園は、動物園とは言っても上野動物園みたいな猛獣類や、大きな動物はいないし、自分が子供の頃は小動物とのふれあいコーナーとか、リス舎もなく割と地味目な動物園だった。
だから、子供の頃は、乗り物がある奥の方へ向かって、動物園はさっさと通り抜けてたような気がする。
でも、はな子さんは別だった。なんたって、象だし。はな子さんはスターだった。


大人になってから時々行った文化園で見たはな子さんは、いつも一頭でどこか寂しげに見えた。
けど、だんだんと、いつも揺れてるはな子さんは、それはそれで自分の時間と自分の世界を生きてるのかもしれないと、思うようになった。

修学旅行から帰ってきた子供に、はな子さんが死んだことを伝えると、じゃあ、この間行けばよかった、と言った。そうだよね。何回も前を通ってたのに、もう動物園には足を向けなかった。
いつ行ってもはな子さんはそこにいたから、なんだかずっとそこにいるもんだと思ってた気がする。

特別はな子さんが好きだったというわけではないんだけど、死んでしまったと聞いて、なんだかちょっと寂しくなった。