もんじゅに天下り

高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構から、福島の事故後もOB38人が、20法人に天下っていた、と、9日の朝刊に記事が載っていた。

もんじゅは、1980年の安全審査開始から、今年まで、予算額を合計すると1兆204億円。うち、建設費が5878億円で維持費が4326億円。2006年から2015年まで、維持費は毎年、174億円から233億円の間で推移している。
着工は1985年で、7年後の1992年には性能試験が開始され、1994年に初臨界に達した。と思ったら翌年にはナトリウム漏れ事故を起こし運転中止。2005年にナトリウム漏れ事故の対策工事に着手し、2010年に運転再開、と思ったらまたもや、炉内に装置を落下させるという事故を起こし、長期運転中止。

2012年には約1万件(全体の機器の2割)の点検漏れが発覚、翌年原子力規制委員会により運転禁止命令。その後も続々と点検漏れや、危機の安全重要度分類のミスが発覚。
先月には、ついに、規制委員会から、運営する日本原子力研究開発機構は、運営に「不適当」だから、新たな運営組織を見つけるよう文科省に勧告が出された。半年以内に見つけない限り、「もんじゅ」のあり方の抜本的見直しを求める、という。で、見つけるのは大変困難らしい。

初臨界から21年、ほとんど稼働してない(原子炉が動いたのはたった8ヶ月)。
けど、燃料のプルトニウムを冷却する必要があり、それも扱いの難しいナトリウム(空気中の水分に触れると激しく燃える性質があるという)だから、通常の原発より機器の点検は念入りに行う必要があるというのに、ミスやら点検漏れやら続発し、「機構はもんじゅを運転するための基本的な能力を持っているとは認めがたい」とまで、言われてしまった。


実験炉のもんじゅがこんな調子だから、高速増殖炉の実用化の目標時期も、当初の1980年代から、2030年、2050年とのびのびになっていったらしい。そして、2014年のエネルギー基本計画では、もはや実用化という目標は消え、核のゴミを減らすための研究拠点に目標転換。
何万年単位の寿命の放射性廃棄物質に「もんじゅ放射線をあてて燃やし寿命の短い放射性物質に変換することで、10万年かかるとされた核のゴミの処分が300年で済み、処分場の面積も大幅に減らすことができるという。もんじゅを核のゴミの焼却炉にしようという構想」(NHKウェブサイトより)

新たな夢の発見か、と思ったら、まず寿命の長い放射性物質を取り出す技術が確立してないうえに、もんじゅのような専用原子炉をさらに新設しなければならない。
そもそも、8ヶ月しか稼働させることができてないもんじゅなのに、それをさらに何基もなんて運転できるのかどうか、できるわけないじゃん、って、普通は思うけど。
原子炉作るメーカーには夢の計画かもしれないけど。
年200億の維持費って1日にすると5000万円以上になる。

すでに1兆円国費投入されてて何の成果もあげないでこのまま終わるわけにはいかない、という考えも結構強いらしいけど、それじゃあ、太平洋戦争に進んで行った時と同じ思考ルートではないですか。一旦着手したら、引き返す、見直す、止める、ってことができない何か呪縛みたいなものがあるんだろうか。