報復の連鎖についてちょっと思ったこと

パリのテロ後、軍隊や治安関係の組織への志願者が急増し、生産が間に合わないくらいフランス国旗も売れてるという記事もあったけど、とりあえずイスラム教徒や移民の排斥運動みたいな方向に行かないということは、イスラム国の思惑に乗らないということにもなるから、いいことなんだろう。

今のとこ、イスラム国などによるテロは、ヨーロッパや北アフリカや中東に集中してる印象があるから、なんとなく対岸の火事的な気分でいるけど、テロなんて本当はいつどこで起こってもおかしくないのかもしれない。

イスラム国への空爆については、大規模な地上軍の侵攻を伴わない空爆だけでは、イスラム国を壊滅させることはできないというのが大方の見方だというけど、それでも、とりあえず空爆は強化されてるらしい。空爆の下では、イスラム国の犠牲者でもある普通の市民が、今度は空爆の犠牲者になってしまう。
シリアとイラクイスラム国がなくなったとしても、世界のどこかでまた別のイスラム国が出てくると言われている。
同じ国内で、貧困と格差の連鎖から抜け出せない、社会に疎外感を抱く若者の問題を根本的に解決しない限り、イスラム国への人材供給ルートは断てないし、国内のテロもなくならない、と専門家は同じことを言う。
イスラム国との武力による戦いが長いものになるのだとしたら、こちらの方の解決への戦いは、さらに長期のものになるのだろう。

それでも、憎悪と報復の連鎖は断ち切らなければならない。武力だけでは、いつまでも戦いは終わらない。今空爆を強化している国のリーダーたちも、そんなこはとうにわかっていて、ただ、武力で敵を叩くことと、根本的な経済・社会問題の解決は別建て見てるだけなんだろう、と思ってた。
でも、そうじゃないのかもしれない。今朝の東京新聞の「ワールド観望」という記事で、実態の見えないイスラム国との戦いが今後どうなっていくのか。70年前のもう一つの狂気のイデオロギー体制との戦いと絡めて書いていた。
その中で、先日ニューヨークタイムズ紙に掲載された、イスラエル情報機関モサドの元幹部の意見を紹介していた。『「法もモラルも人権も考えずに戦いを始めるべきだ。すべてのIS支配地域を地図上から消し去ることだ。第二次大戦中に(ドイツ東部)ドレスデンでそうしたように」』
憎悪と報復の連鎖は断ち切らなければならない。一人残らず殺す事で、断ち切るのだ。そのためには、どんな犠牲も払う覚悟がいる。その過程で、大勢の子供や女性を含む普通の市民が死んでいくだろう。けど、それでも戦いは続ける。敵を殲滅するまで。

そんなこと言ったって、武力だけでは解決できないから、パレスチナとの間の衝突だって未だに続いているのでは、と思ったんだけど、パレスチナとの紛争は、イスラエルの建国からだとしても70年にも満たない期間での戦いだ。これからどのくらい続くのかわからないけど、ユダヤ人の2000年の放浪の歴史から見れば、ほんの短い期間の戦いということになるのかもしれない。

「法もモラルも人権も考えずに戦いを始めるべきだ。」って強い言葉が、衝撃だった。イスラム国との戦いを主導するアメリカやフランスがそんな戦いをすることはないと、思った。
でも、そう思うこと自体、戦争を知らない人間の甘い考えなのかもしれない。戦場には、法もモラルも人権も何もないのだ、ということを知っていたような気がしてただけだ。法もモラルも人権も、なんて戦争なら当然のことなのかもしれない。相手が、国家でもなく、実態を掴みきれてない集団であるならなおのこと。