"ヨルダン人パイロット”殺害の報道を読んで

ヨルダン人パイロットが殺害されたと、報道された。その様子を映したビデオが公開された。今まで公開されてきた残虐な殺害の中でも多分最悪と言えるだろう残虐な方法で。

アラブの人の名前は馴染みがなくて新聞などに書いてあってもなかなか覚えられないから、彼のことは、ヨルダン人パイロット、というふうにしか思っていなかった。
すでに亡くなってるかもしれないという報道を読んでも、せめて彼だけでも解放されればいいと、漠然と思ってはいたけど、ヨルダン人パイロット、という捉え方は、単に日本人人質の条件対象としか見てなかったのかもしれないと気づき、自分にゾッとした。

彼に関する記事を読んだ。
記事によると、彼の名前は、Moaz al-Kasasbeh (モアズ•カサスベと読むらしい)。まだ26歳で、高校卒業後はメディカルスクールへの進学を考えていたのが、偶然に空軍のパイロットになったと、記事には書いてあった。8人兄弟の4番目で、親思いの質素で真面目な青年だったらしい。

お兄さんが語った彼の思い出では、子どもの頃彼は、ペットのうさぎがどうしても飼いたくて、何度も父親にせがんだという。場所がないからダメと言われれば庭に囲いを作り、餌がないからダメだと言われれば、自分で餌を集めてきたという。それでもダメと言われると、赤ちゃんの妹を囲いに入れて、”僕のうさぎ”といったと、お兄さんは語った。

カサスベさんの奥さんも、彼女の実家でうさぎを飼っているのを見た夫が喜んだ様子、どれほどウサギを飼いたいと思っていたか話してくれたことを、彼の死を知らされる前、楽しい思い出として訪ねてきた記者に語ったという。

公開されたビデオの一部をテレビのニュース番組で見た。破壊された建物の上に、イスラム国の兵士たちが連なり、じっと見つめていた。カサスベさん殺害の一部始終を見つめていた彼らは皆、有志連合による空爆の犠牲に対する正当な報復として喝采していたんだろうか。イスラム国のメンバーによるツイッターの投稿では、カサスベさんの死を目には目をだと、賞賛していたという。
彼らの中にも、子どもの頃うさぎを飼いたいと思っていた人もいるかもしれない。

多分、生まれながらの殺人者ってのは一定割合で存在するんだと思う。でも、イスラム国の兵士たちみんながそうだとは思わない。普通に笑う子供時代を過ごした人たちもいたはずなのに、どこでどうなると、報復の名の下に残虐な殺人をするようになってしまうんだろう。